歴史研究部 冬休み活動報告:府中巡検
2025.12.27
クラブTOPICS歴史研究
歴史研究部は12月26日(金)に府中への巡検を行いました。
この巡検は2学期のプレゼン大会で中学2年生の部員が提案し、部内で最も多くの支持を得たことで実施されたものです。
当日は天候にも恵まれ、中学生・高校生合わせて9名で巡検を行いました。
① 武蔵府中熊野神社古墳
武蔵府中熊野神社古墳は、日本では珍しい「上円下方墳」で、神社(熊野神社)の裏手に古墳が位置するユニークな形態をとっています。


訪れた時間が早かったため、付設の展示館は閉まっていましたが、たまたま出勤された職員の方にその場で解説を行ってもらいました。当初は古墳が存在するとは思われておらず、正式に古墳と認定されたのは25年前であること、それでも神社の裏手に位置する場所だったことから宅地開発には巻き込まれずに済んだことなど、非常に興味深い話を聞くことができました。
② 高安寺
高安寺は、室町時代に足利尊氏が再興した寺院です。その由来は、藤原秀郷(平将門の乱を平定)の居館が基となっており、その後は源頼朝と対立した義経が一時的に身を置いたり、鎌倉幕府軍との戦いを控えた新田義貞が本陣を敷いたりするなど、教科書にも名前が出てくる有名人物たちが関わってきた寺院です。


併設されている秀郷稲荷神社には、かつて源義経が高安寺に身を置いていた際、兄・頼朝の許しを得るために大般若経の写経を行っており、その際に使う清水を汲み取ったとされる「弁慶硯の井戸」がありました。部員たちも、在りし日の義経や弁慶たちに思いを馳せながら境内を見学していました。
③ 分倍河原古戦場
分倍河原古戦場は、新田義貞軍と鎌倉幕府軍が激戦を繰り広げた「分倍河原の戦い」が行われた場所です。この戦いに勝利した新田軍はそのまま鎌倉へと進軍し、鎌倉幕府は滅亡することとなりました。


現在は、戦いの様子を伝える記念碑が建つのみで、周囲は遊歩道や公園が整備されていました。部員たちは付近を散策しながら、当時の戦いの様子について想像を巡らせていました。
④ 府中市郷土の森博物館
昼食を挟み、午後に訪れたのが「府中市郷土の森博物館」です。ここでは、博物館の常設展で府中の歴史を学べるだけでなく、敷地内には明治時代以降の建物が復元されているなど、2時間の見学時間では足りないほどの展示物がありました。




敷地内に移築された建物は、町役場や郵便局、尋常小学校など、明治時代以降の近代化を象徴する建物もあれば、かつて養蚕業を営んでいた農家の住宅や商家などもあり、当時の人々の生活を実際に肌で感じることができました。
⑤ 府中市立ふるさと府中歴史館(+武蔵国衙跡・大國魂神社)
最後に訪れたのは「府中市立ふるさと府中歴史館」です。この施設は公文書館の役割も兼ねていることから、さまざまな展示品に加えて、府中の歴史を記録した多くの史料(記録)も閲覧できる場所になります。




今回の巡検では「府中の歴史」をテーマに、古代から近代までさまざまな史跡・博物館をめぐることができました。その中には、これまでに行った巡検につながる史跡もあり、歴史の空間的な広がりも感じることができました。来年以降も、歴史研究部では地域の歴史を学べる巡検を行っていきたいと思います。

