歴史研究部の2025年活動報告ラスト（第四弾）は「世田谷巡検」です。今回の巡検は、１学期のプレゼン大会で２年生の部員が提案した企画が基になったものです。

　7月14日（月）に行われた巡検には、中学生・高校生合わせて11名が参加しました。当日は天候に恵まれず、雨が降る中でのスタートになりました。

① 豪徳寺

　最初は彦根藩主・井伊家の菩提寺である「豪徳寺」を訪れました。井伊家と言えば、幕末に大老として権勢をふるった井伊直弼が有名ですが、彼の墓所もこのお寺に存在します。

　豪徳寺は、一説には招き猫発祥の地とされます。かつて彦根藩３代藩主・井伊直孝が猫によって門内に招き入れられたところ、ちょうど雷雨を避けられ、和尚の法談を聞くことができたことに由来するそうです。私たちが豪徳寺を見学していた際には雨もちょうと止んでおり、もしかすると招き猫のご利益があったのかも知れません。

② 世田谷八幡宮

　次に訪れた世田谷八幡宮は、かつて「後三年の役」を戦った源義家が、その帰路に豪雨に遭い、天候が回復するまで滞在したことが由来になっています。

　ちょうど世田谷八幡宮に着いた頃から雨が本格的に降り始め、奇しくも源義家の気分を味わうことができました。また境内には厳島神社もあり、２年前の広島夏合宿のリベンジ（詳しくは過去のブログ記事を参照）を果たすことができました（？）

③ 勝光院＆実相院

　昼食を挟んで訪れたのが勝光院と実相院です。どちらも、この地域を本拠地とした世田谷吉良氏にゆかりのある寺院です。

　午前中に訪問した寺社とは異なり、非常に物静かな雰囲気の中での見学となりました、特に実相院には、明治時代から大正時代にかけて活躍した政治家・高橋是清の「髭」のお墓（高橋是清翁之髭墓）があり、部員たちも物珍しそうに眺めていました（高橋是清のお墓は多摩霊園にあります）。

④ 九品仏浄真寺

　次に訪れたのが九品仏浄真寺です。もともとは世田谷吉良氏の城（奥沢城）があった地に建立された寺院で、九体の阿弥陀如来像が安置されていることで有名です。

　境内には、阿弥陀如来像を安置する三つの仏堂（上品堂・中品堂・下品堂）があり、それぞれの仏像の姿勢も異なります。部員たちは配布されていた解説を片手に目を凝らして仏像の様子を観察していました。

⑤ 奥沢神社

　最後に訪れたのが「奥沢神社」です。この神社は、世田谷吉良氏の家臣が奥沢城を築く際に勧請したことが由来になっているそうです。また江戸時代には、八幡神のお告げで藁蛇（藁で作った大蛇）を巡行させて疫病を治めたという伝承から、全国的にも珍しい「厄除の大蛇」神事が行われています。

　開始時に降っていた雨も午後には止み、奥沢神社に到着した時には晴天が広がっていました。今回の巡検も大きなトラブルや事故もなく、終えることができました。世田谷という地域の歴史をめぐっていいく中で、私たちが普段使っている教科書とは異なる視点で歴史を考えることができたのではないでしょうか。部員たちには、是非、この経験を今後の部活動に活かしてほしいと思います。